「病気を無くす」ホームページ 表題1
前項のグラフで最近10年野菜の摂取量が減っています。朝食を摂ら ないなど食生活の乱れもあると言われています。がんを無くすためには、緑黄色野菜の摂取も重要と考えられます。緑黄色野菜には、β-カロテンだけではなくビタミン C やビタミン K、葉酸、カリウム、食物繊維などが含まれ ています。ビタミン C やビタミン K、葉酸はビタミン類で、カリウムはミネ ラルと呼ばれます。さらに、鉄やカルシウムなどのミネラルを含む野菜もありますので、特定なビタミンやミネラルに偏らないためにも、いろいろな種類の野菜を含む食事がお勧めです。
特に、葉酸について「シンプル生化学改訂第 5 版」に以下太字の通り書かれています。
「抗貧血作用があり、ほうれん草から抽出されたので草(folium)にちな んで命名された。細胞分裂の盛んな組織に多く、細胞増殖や成長に必要と される」
葉酸は、植物の葉に多く含まれ、ビタミン B12(肉類に多く含まれる)とともに 赤血球を作るので「造血のビタミン」ともいわれています。細胞が新しく できる時に重要な役割を果たします。葉酸を十分に摂取する 事で、胎児の先天異常リスクを減らしますので、妊婦さんも病院で葉酸摂取を勧められるそうです。
「葉酸をたくさん食べる人は、あまり食べない人に比べ大腸がんになるリスクが、28%ほど低い。
さらに葉酸をたくさん食べ、かつ酒を飲まない人は44%も大腸がんになるリスクが低下する。」
上の太字は 2011 年 9 月 27 日付朝日新聞の愛知県がんセンター研究所の研究結果からの引用 です。
愛知県がんセンターの研究者は「効果があると考えられる 1 日あたりの葉酸摂取量 は、葉っぱで換算すると 150g」といっています。
健康維持のた めには栄養のバランスがとれた食事を、腹八分目を心がけ 1 日 3 食摂るこ とが重要です。厚生労働省・農林水産省が推奨する「食事バランスガイ ド」など参考に、なるべく多くの種類の食材を取り入れる事をお勧めしま す。
糖、脂肪およびタンパク質の3大栄養素は、必要な時に体内で相互に合成 できますが、ビタミンやミネラルは体内で合成できないので、食物から摂 る必要があります。緑黄色野菜は多く種類のビタミンやミネラルをとる事 ができ、調理法も様々ありますので、毎回摂取する事が望まれます。
文化レベルが同程度と考えられる日本を含めた先進4カ国の
「肉と野菜の消費量」と「がん死亡率」をグラフにしました。
具体的なデータは、下の表の通りです。
このデータは、世界の統計2013(総務省統計局)108,315,316ページの数値をもとに、死亡率は人口10万人当たりがん死亡者数の男女の平均、野菜類と肉類を、日本を100として指数化しました。さらに、供給食料を消費量と言い換えました。
肉と野菜をたくさん摂っているアメリカは、最もがんで 死亡する人が少ないことが解ります。特に肉の消費量とがん死亡率が反比 例している事から、前項の「肉と緑黄色野菜の摂取量」と「胃がんと子宮がんの死亡率」のグラフと合わせて考えると、肉料理が、がん死亡者を減らすと言えるのです。
前項で米国は西欧の先進国よりもがん死亡者が少ない事がわかりましたが それでもやはり人口 10 万人当たり 192 人が(2008 年の場合)がんで亡くな っています。米国人は肉をたくさん食べているのにがん死亡者が意外と多いので、米国がん協会 2011 年報告を読んでみました。その中 に以下の特集がありましたので、概要を以下に記載します。
この特集は、貧富の差が、がんの死亡率に影響を及ぼしていると述べてい ます。そして、豊かさと貧しさは、ほぼ教育のレベルに比例することから 次のグラフの通り、教育レベルによる死亡率の違いを数値で示していま す。教育レベルは教育期間と等しいと考えています。
iPhoneやMacBookを作ったアップルコンピュータ創業者の一人であるスティーブ・ジョブズ氏は、徹底したベジタリアンである事と、2011年56歳の若さで「がん」で亡くなった事がよく知られています。スティーブ・ジョブズ氏も肉を食べていれば、もっと長生きして、もっと面白い事を考え続けてくれたに違いないと残念な思いが募ります。
肉を食べるのは確かに動物に可哀想ですが、野菜にも命がありますからベジタリアンになっても命を奪う事は同じです。このように、人間は他の命を食べないと生きられないという性(さが)があるのです。だから人間は、全ての命に感謝して肉も野菜もいただき、残された命がより良く生きられるように活動しないといけないのです。
以上のいずれの「がん予防法」にも肉類を勧める文言は有りません。これは、世界がん研究基金と米国がん研究協会が共同で発表している「がん予防のための食物・栄養などに関する勧告」で、赤肉(牛、豚、羊肉)と加工肉が大腸がんリスクを上昇させるのは「確実」と報告されていることによるものと考えられます。しかし、この報告は、欧米での研究が多く、比較的肉の摂取量の少ないアジアや日本からの研究は少ないのです。
私は国内では一人前の食事がちょうど良く、食事の量は普通と考えていますが、米国で一人前の食事が大きな皿に乗せられてきて半分くらい残した思い出があります。個人の経験を米国全土に演繹するのは危険ではありますが、米国民は食べ過ぎではないかと思います。上の欧米の肉と大腸がんリスクも、日本人にそのまま当てはめるのは少し疑問が残ります。
日本人に合った量の肉を食べる事は健康にも良く、がんを減少させる効果もあると思われます。2011年に発表された「がんを防ぐための新12か条」にある通り、バランスの良い食事が理想的です。「バランスをとる」とは、肉も野菜も適度にいただき、タンパク質、デンプン(糖)、脂肪も各々欠かさない事を言います。
小腸がんについてネットの N H K 健康チャンネルには次(太字)の 通り記載されています。
小腸がんは、患者数が極めて少ない希少がんの1つです。人口 10 万人に対 して 1 年間に新たに小腸がんを発症する人は、男性 2.61 人、女性 1.77 人 という推計値があります。同じ消化器の胃がんや大腸がんと比べると、と ても少ない割合となっています。
食物は口から入り、食道→胃→小腸→大腸と流れ ていきます。食道、胃、大腸はいずれもがんがよく発生していますが、小腸がんは少ないので、下のグラフにも、「小腸がんによる死亡」 はありません。
小 腸だけ、がんができにくい理由を以下考察してみます。
胃や食道の検査は口からファイバースコープを入れて調べます。大腸の検 査は肛門から同様に調査します。どちらもその先の小腸にはファイバース コープが届きません。最近はカプセルカメラも開発されていますが、長い 小腸は体内で幾重にも折りたたまれ、さらに襞があるので何らかの方法で カメラが入っても小腸の全表面を検査するのは困難で、患部の位置を特定 する事も難しいと考えられます。従って最新技術の検査方法でも小腸がん の確定診断には、開腹手術が必要になります。現在見つかっている希少な 小腸がんは、腸捻転や腸の炎症などの治療に際し特別に検査したり、開腹手術をした時に見つけられたものがほとんどです。 この様な状況から、技術的に困難な小腸の定期検診は実施されていない結果として、小腸がんは希少になるのではないかと考えられます。
遺伝子には、細胞の設計図が書かれており、細胞が増えるときに重要な役 割を果たします。突然変異とは、何らかの原因で細胞の設計図の一部が破 損する事を言います。
遺伝子は細胞膜や細胞質に守られた核の中に入って容易に外から触れられ るものではありません。人間が発癌物質と言われる特別な化学物質に触れ て細胞膜に影響を及ぼしたとしても、核に影響を及ぼす事はほとんどあり ません。
二重三重に守られた遺伝子ですが、数万年単位で生物が進化する場合には、何らかの影響で核に影響を及ぼし遺伝 子の突然変異が起きる事もあるとされています。しかし、厚生労働省の白書に拠れ ば、人間が生涯の内にがんになる可能性は、男性の 2 人に 1 人、女性の 3 人に 1 人と推計されていますが、100 年程度の寿命の中でこのように多くの 人に増殖が盛んになるような遺伝子の突然変異が起こる事はほとんどあり得ません。
人体の細胞は、糖を酸素で分解してエネルギーを作っています。糖を分解 する酸素は、赤血球中の鉄分を含むヘモグロビンによって細胞に供給され ます。得たエネルギーは、筋肉を使って動いたり、重いものを持ち上げた り、勉強のために頭を使ったり、心臓の拍動や肺呼吸や細胞分裂により新 しい細胞を作る時に使われます。
がんの原因を調べると、喫煙、飲酒、生活習慣などが挙げられています。 喫煙はかなり高温なニコチンを含む煙を肺に吸い込み肺を傷つけます。 お酒に含まれるアルコールは、タンパク質を変性させて消化器を傷つけま す。人体は、喫煙や飲酒などでついた傷を、細胞分裂により新しい細胞を 作って修復します。
新しい細胞を作る時に、十分なヘモグロビンがあれば、酸素により糖を燃 してエネルギーを作って正常細胞ができます。 しかし、新しい細胞を作る時に、ヘモグロビン不足すると、酸素供給も足 りずエネルギーも不足しますので、正常な機能を欠いた細胞ができ増殖を 繰り返すのが「がん細胞」ではないかと考えます。
がん細胞ができても、十分なエネルギーが得られた時に、周囲の正常細胞 が新しい正常細胞を生み出し、正しく傷を治す事ができます。十分なエネ ルギーを作るために、細胞に酸素を十分供給しなくてはなりません。
酸素を供給するヘモグロビンを作るのには十分な鉄が必要です。鉄は体内 で合成することはできませんので、鉄分豊富な食事を摂る事が大事です。
毎日、喫煙し、深酒をして細胞を傷つけていては、エネルギーがどれほど あっても足りませんので、できるだけ慎む事をお勧めします。
厚生労働省 eJIM(イージム:「統合医療」情報発信サイト)には 「大腸がん患者の最大 60%が診断時に鉄欠乏症を発現しているが、これは慢 性的な失血によると考えられる。他の種類のがん患者における鉄欠乏症の 発生率は、29~46%である。」と記載されています。 厚生労働省の記述は、がんの慢性的な失血が貧血を起こしているとしてい ますが、逆に貧血が、がんを発症させた可能性があるのではないかと考えます。
栄養をしっかり摂って十分な鉄分を吸収すれば「第1-1章 緑黄色野菜と 肉の料理が、がんを無くす」でお解りいただける様に、がんを無くすために大きく貢献できるのではないでしょうか。がんは、エネルギーが足りな くても工夫して応急的に細胞増殖する「細胞の生命活動の証」と考えられるので す。
ラクトフェリンは、細胞や菌が生存するために必要な鉄と結合して奪い、菌を生存不可能にし て殺菌してくれます。お母さんの初乳には未熟な新生児を菌の感染から守 る為に、涙液には皮膚に覆われていない繊細な目を菌の感染から守る為に ラクトフェリンが多いのではないかと考えられます。
2002 年に米国国立衛生研究所で行われた臨床試験において、女性ホルモン 投与群の乳がん・心臓発作・脳卒中がプラセボ群に比べ多くなった為、臨 床試験は途中 5 年余りで中止されました。
注:この臨床試験の英語表記は Women's Health Initiative (WHI) Hormone Program です。閉経女性への女性ホルモン投与が心血管疾患、がん、骨粗鬆症におよぼす影響 調査の為、50-79 歳の一般閉経女性を対象にホルモン投与群 8506 人、プラセボ投与群 8102 人の経過観察をしました。
女性ホルモンは乳腺の発達や母乳の分泌を促進するため、被験者が女性ホ ルモン投与により乳房内で合成されたラクトフェリンで乳がんを発生させ たことが推測できます。
一般的に、乳がんの原因として以下の事項が挙げられています。
1初経年齢が早い
2閉経年齢が遅い
3出産経験がない又は多い
4 授乳経験がない
5 閉経後の肥満
6 遺伝
これらの事項はほとんどが、女性ホルモン過多の結果と考えられますので 女性ホルモン投与の臨床試験とも矛盾なく理解できます。
女性の中には、赤ちゃんを見ただけで母乳が分泌されたり、ストレスや緊 張で母乳が分泌される事があるそうです。ホルモン異常、流産やその他の 理由で授乳できない場合に母乳が生成されると、母乳に含まれるラクトフ ェリンが鉄分奪ってしまい乳房内細胞が、がん化するのではないかと考えられます。
乳がんを防止には、鉄分をしっかり摂る事が、すぐ実行できて良い方法ではな いかと思います。また、基本的には、散歩など運動をして、肉類を含め栄養もバランス 良く摂り規則正しく健康的な生活を送る事ががんを無くすために役立つと思いま す。
以上の通り十分な鉄分を吸収すれば、がんを無くすことができるのではないかと思われます。 鉄は、体内で作る事ができませんので、鉄分豊富な食事をいただくことに より補給しなくてはなりません。鉄分を含む食材は牛肉、レバー、卵、大 豆、ほうれん草などたくさんあります。たくさんの食材に含まれる鉄です が、人体が吸収できる割合は必ずしも含有量に比例しません。色々な食材 について、鉄分の吸収率を示したものが、次のグラフです。
具体的なデータは以下の通りです。
鉄は人体の中に 2〜5g と最も多い金属です。上のデータの牛肉から魚肉(いわし)までが、吸収の良い化合物であるヘム鉄です。ヘム鉄とは4つの窒素で鉄を包み 込んでいる有機化合物です。鉄は空気に触れるとすぐに錆びるように反応性が高い ので、体内ではヘム鉄をさらにタンパク質で包んで必要な細胞に供給されます。 ヘモグロビンは、ヘム鉄とグロビンというタンパク質が結合したものです。「1-4-3 鉄の薬は胃腸障害を起こす」にもヘム鉄について書いていますので参照して下さい。
ヘム鉄の中で牛肉が一番良い吸収率を示していますので人体の鉄分補給に 効率が良いことが解ります。鉄分を多く含むというとすぐにレバーを思い 浮かべますが、レバーを毎日調理して摂取するのは大変です。牛肉や魚は 手に入り易くて鉄の吸収率も高く、調理方法も沢山ありますので日常の食 事として毎日取る事ができます。
ウイルスは細菌と異なり自分で増殖できません。細胞(宿主細胞)に感染・侵入し、細胞のタンパク合成などの機能を利用して子孫ウイルスを増殖させ細胞外に放出します。ウイルスが感染し侵入するためには、細胞膜上にウイルスが利用できる受容体が必要です。
下のウイルスの増殖模式図 を参照願います。
肝臓がんや子宮頸がん等の原因としてウイルスを挙げることがあります。 ウイルスは、遺伝子を蛋白で包んだ簡単な構造で、移動能力もなく、細胞 に寄生することでしか増殖できない物質です。移動能力のないウイルス が、体外から肝臓や子宮に侵入するのは困難な事に思えます。ウイルスが 寄生すると細胞は多くの場合死滅してしまうと言われていますから、寄生 された細胞ががん化して増殖能力を高める事も考えにくいと思います。帯 状疱疹などを起こすヘルペスウイルスは、症状が治ったあとも、神経細胞の核の中に遺伝子の形で潜んでいて、体の免疫力が弱った時に活動を再開 するとされています。細胞の中に帯状疱疹のウイルスがいても、ほとんど の人は、一生帯状疱疹を発症しないわけですから、ヘルペスウイルスが、 細胞の中に潜んでいるというよりは、正常な神経細胞にヘルペスウイルス を作る能力があると考える方が事実に近いと思います。(アンダーラインの 場合は上の増殖模式図の感染侵入工程はなくなり細胞内で増殖して放出されることになりま す。)移動能力のないウイルスですから、体外から侵入するよりは、宿主細胞から出てきた事は事実に違いありません。
インターネットに「ストレス顆粒」の研究論文がありましたので以下の着色部に引用します。
表題:ストレス顆粒形成によるストレス応答シグナルと細胞運命の制御機構
研究者:名古屋大学 環境医学研究所 分子シグナル制御分野 武川 睦寛
本文(抜粋):細胞が持つ基本的な“ストレス適応機構”の一つとして、最近、「ストレス顆粒」の形成が重要であることが見出された。ストレス顆粒は、特定のストレス刺激(低酸素、熱ショック、ウイルス感染、砒素、異常蛋白質蓄積など)に応答して形成される細胞質内構造体であり、その本体はmRNA、RNA結合蛋白質、及び40Sリボゾームなどからなる凝集体である。
注:RNA とは遺伝子の主成分(核酸)のことで、核酸にはデオキシリボ核酸(DNA)とリボ核酸 (RNA)があります。細胞核内の DNA に書かれた遺伝情報を写しとり細胞質の小 器官の一つであるリボゾームに結合する RNA をメッセンジャーRNA(mRNA)と呼 びます。そのほか細胞質内で働く RNA もあります。40S は重さを表し、リボゾー ムには大小いくつかの種類があります。
上の研究論文にある通り、人体の細胞は低酸素でストレス顆粒を作る能力があります。鉄分が不足すると 低酸素になりますから、細胞が持つ基本的な“ストレス適応機構” の 1 つとして、ストレス顆粒ができます。ストレス顆粒が膜に包まれるとウイルスになると考えられま す。肝がん、子宮頸がんなどは、ウイルスが原因と言われています。しか し、肝臓や子宮頸部の細胞が低酸 素(=鉄分不足)によりストレス顆粒を膜に包んだものがウイルスである と考えます。がんの原因は鉄分不足による低酸素ですから、がんの近傍にウイルスが存在 することが矛盾なく説明できます。
ウイルスは、生命(細胞)のストレス対応であり、まさに細胞の命を 繋ぐ活動と言えるのです。今後さらに研究が進めば、「膜に包まれたスト レス顆粒=ウイルス」が証明されるに違いないと思います。
武村政治著「新しいウイルス入門」にウイルス発生説の1番目に以下の説 がありましたので着色部の通り引用します。
「もともと独立した細胞だったものが、何らかのきっかけで、他の細胞の 代謝メカニズムや複製メカニズムを利用して、自分の子孫を作るという働 きのみを残し、残りの全ての機能や細胞小器官を失ってしまったのが、ウイルスなのではないか、とする考え方である。<中略>これなら細胞なく しては増殖し得ない現在のウイルスの特徴を見事に説明している様に思え る。だがある疑問も残る。この“元細胞”たるウイルスは、どんなきっか けがあって、残り全ての機能を失わなければならなかったのか、というこ とだ。」
引用文の中にある疑問については、細胞が酸素不足や熱のストレス状態で 生存が危ぶまれた時、残り全ての機能を失ってストレス顆粒を作り、ウイ ルスが発生したとすれば解決します。
抗ウイルス薬と副作用について、明確な因果関係は証明されてはおりませ んが、子宮頸がんウイルスワクチンの副作用として痛みやしびれ・脱力・ 記憶障害など多様な症状及び、抗インフルエンザウイルス薬の副作用とし て自殺などの異常行動などが議論されています。これらも、細胞が持つ基 本的な“ストレス適応機構”の一つであるウイルス形成を医薬品で阻害し 副作用を誘発した結果である可能性があります。特に、神経細胞は、他の細胞より長く体中に張り巡らされていますので、ストレスを受ける事が多く、ストレス顆粒により細胞の命を繋ぐ機会も多いと考えられます。 (ウイルスについては項目「第 3-3 章かぜ等の原因は、菌・ウイルス・花粉では無い」でも 考察します。)
1-4-1 何の治療もしないのに、驚くほど長く生きる
奥様は、2000年に肺の腺がんを患いました。「妻の腺がんはごく小さいものだった。国立がんセンター病院で左肺の一部を切除し、すぐに元気を取り戻した。」がん患者は通常治療に不安を感じるものであるが、「妻の場合は、専門家の私が大丈夫だと太鼓判を押したこともあって、ほとんど不安は感じていないようだった。」
今度は、数年後に甲状腺がんを患い甲状腺の大部分とリンパ節を切除し、さらに三年後、頸部のリンパ節が腫れているのが見つかり再び切除しました。「幸いに甲状腺がんは比較的おとなしいがんなので、2回の手術で一応は治まった。」
しかし、2006年春肺がんが再発し秋に陽子線治療を受けました。「その結果、肺の腫瘍は見事に消失したという診断結果をK先生から聞かされた。陽子線の効果は抜群なのだと、私たちは天にも上がる気持ちだった。」ところが、年が明けて2007年2月にCT検査で転移の病巣が見つかりK先生は「あんなに小さな肺がんで、しかも陽子線治療で完全に消えたものが再発するとしたら、これは小細胞がんしか考えられない。前回のがんと違う、小細胞がんを強く疑います。」と述べました。そして、2007年秋に再入院し、年末には他界されました。
がん治療は、原因を確定しかつ取り除かないと再発は避けられません。現在のがん治療は、手術、放射線、抗がん剤で体の中にある全部のがんを取り除くだけで、原因を取り除いてはいません。
2010 年 12 月 13 日に発行された「あなたの癌は、がんもどき」(近藤誠 著 )では、「医学界には、「がんが怒る」という言葉や、「がんは空気 に触れると爆発的に進行することがある」との言い伝えがあります。」と 言っています。この言い伝えについて、著者は、がん細胞の性質は遺伝子 で決まるのでこれは誤解だと述べていますが、北風(手術・放射線・抗が ん剤)にがんが怒ることもありえる事と考えられます。2017 年 2 月 20 日に 発行された「健康診断は受けてはいけない」(近藤誠著)では、「世界で 最も有名なハーバード大学の病院で 20 世紀の半ばに、大腸がんの手術が行 われました。そのとき肝臓に転移が認められなかったのに、術後、肝転移 が急激に増大し、患者さんは手術から 10 週間で亡くなりました。このケー スを報告した外科医は、がんの急速増大のきっかけは手術だと総括してい ます。」と書かれていました。
貧血では、よく鉄剤が処方されますが、鉄剤を飲んで胃や腸の不調を訴える人が沢山います。鉄剤は通常、フマル酸第一鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、硫酸第一鉄などが主成分で、ヘム鉄ではありません。(ヘム鉄については項目「1-3-4 鉄分吸収には牛肉が一番良い」を参照してください。)
ある鉄剤(クエン酸第一鉄ナトリウム)のインタビューホーム(厚生労働大臣が医薬品として承認する根拠となる実験データ)の「開発の経緯」の項を見ると「経口鉄剤による治療上の問題は、消化器(胃腸)症状を主とする副作用によりしばしば服薬の継続が困難となることにある」と記載されています。この鉄剤のインタビューホームには、以下着色部の胃腸障害が見られます。
健康成人男子を対象に本剤2錠を連続8日間投与した結果、投与2~3日目に下痢、食欲不振、腹部不快感、腹痛などの消化器症状を訴えるものがあったが、いずれも投与後2~3時間以内に出現し、一過性であった。また、鉄欠乏性貧血患者18例に本剤を最長36週にわたり経口投与したとき、消化器症状として、便秘6例、悪心2例、嘔吐、上腹部不快感、下痢が各一例見られたが、いずれも軽度で全例継続治療可能であった。
上記の通り、18人中11人が消化器症状を訴えていますので、副作用発症率は61%と高率です。そして、鉄剤を飲んで嘔吐をしても、軽度の副作用と判断していることも驚きです。一過性とはいえ、鉄剤を飲んだら副作用が出るにもかかわらず、改善もせず医薬品として認められていることも不思議です。
鉄は放っておくと、すぐ錆びて(酸化して)しまいます。このことは鉄が酸素と非常に結合しやすいことを示しています。また、消化器はタンパク質 でできていますが、タンパク質は必ず酸素分子を含んでいますから、鉄剤 を服用すると、消化器のタンパク質に含まれる酸素を鉄が奪ってしまう か、タンパク質の酸素に鉄が結合して傷つけてしまう事が、この副作用の 原因と考えられます。
一方、肉類などに含まれる鉄はヘム鉄です。植物の葉緑素にもチトクロー ム C の中に、ヘム鉄があります。ヘム鉄は、胃酸に触れると、鉄と酸素の 結合を阻害する性質がありますので、胃の副作用が防止されます。ヘム 鉄は、胃のすぐ後にある十二指腸で吸収されます。十二指腸で吸収された ヘム鉄は、十二指腸の細胞でタンパク質のトランスフェリンに包まれてか ら血流に乗って体内を移動します。ヘム鉄が酸素と鉄の不要な結合を防 ぎ、十二指腸で吸収する事で鉄が消化器に長時間滞留する事を防いでいま す。吸収されて体内を移動する鉄は移動のためのタンパク質に包まれ、臓器のタンパク質に鉄が直接触れない様になっています。
人体はタンパク質などの有機化合物でできていますが、鉄は、体内でタン パク質や有機化合物の結合を切る役割もしていますので、すぐに周りのタ ンパク質を傷つけてしまいます。体内では常に鉄をタンパク質に包んでお かないと危険です。
2018 年 12 月 21 日の朝日新聞に「日本陸上競技連盟が長距離選手の持久力 向上を目的とした鉄剤注射を禁止するための方策を協議した」との記事が ありました。鉄剤の静脈注射を続けると鉄過剰症を起こし、内臓の機能低 下を起こすので注意が必要です。鉄を厳密に管理している体内に、タンパク質に包まれていない鉄を注射すると、若い元気な陸上選手でも健康を害してしまい、決して持久力向上にはなりません。
2013 年 8 月 3 日朝日新聞の「抗がん剤の暴露防止機器、近畿大など開発」 と題し「抗がん剤を調製する際の医師や薬剤師への抗がん剤暴露を防止す る装置を開発した」という記事がありました。
このことは、医師や薬剤師などの健康な人でも抗がん剤に触れたら危険で あり、がん患者が、抗がん剤を投与された時、副作用に注意を要する事を 示すものです。抗がん剤の多くは、がん細胞の分裂を抑えます。一方正常 細胞にも抗がん剤は作用します。薬理学の本にも「抗がん剤の中でも化学 療法薬は、脱毛、消化器毒性、骨髄抑制などの副作用がほぼ必発であ る。」と書かれています。以前から、がんは非常に困難な病気の為、多少 の副作用も仕方がないとして薬が開発されてきた背景があります。
「がんのウソと真実」(小野寺時夫著)に以下着色部の通り書かれています。
「がんは自分の細胞から生まれたもので、病気だといっても、細菌やウイルス感染などとは異質です。正常細胞には作用しないでがん細胞だけ殺す抗がん剤はないし、体の免疫力を逃れて生き残ったものを免疫療法で治そうとするのも至難なのです。」
調剤薬局勤務時代に最新の抗がん剤の説明を製薬会社から受けた事があります。説明の結論は 「抗がん剤には副作用があり服用も大変ですが、医師の指示通りしっかり 服用する事を患者に伝えて下さい」と言うものでした。「細胞を殺す 薬を我慢して飲み続けるのは危険ではないか?」と担当者に質問してみま したが、「がんとはそう言う病気です」との答えしか得られませんでし た。現在のがん治療の厳しさを見せられた様な気がして、がん患者は強い 精神力と体力が無いと抗がん剤には耐えられないと思われました。
東村山を舞台に撮影された映画「あん」を見ました。ハンセン病という重 いテーマを正面から描き、観客を圧倒するような迫力ある画面が随所に見 られました。主演の一人である樹木希林さんの演技は、骨太で見応えがあ りました。桜の美しさと、見慣れた風景が、少しの息抜きを許してくれて いるように感じられました。
ハンセン病は、親兄弟などの家族が同時期に発症すること以外、感染によ り病気が広がったという事例は見受けられません。従って、発病した時代 の食事が栄養を満たしていない為に、家族が同時期に発症した可能性があ ります。現在でも貧しい国はハンセン病が多いのです。栄養の満たされた 現代の日本ではハンセン病はほとんど起きていません。ハンセン病の悲劇を繰り返してはならないと、この映画を含め多くの人が訴えています。そ の昔、ハンセン病は伝染性の極めて強い病気であると誤解して過剰な対応 をしたことが、悲劇の始まりでではないかと考えられます。
映画の舞台になった全生園にも見学に行きましたが、現在でも多くの方が 施設で暮らして居り、ご苦労をされている事がわかりました。ハンセン病 が伝染するとして偏見や差別が、いまだに残っているのかと驚きました。 施設で療養されている方々の今後の生活が平穏であることを願わずにはい られません。現在、ハンセン病は感染力の弱い「らい菌」による感染症で あるとされていますが、この偏見や差別の撤廃には「ハンセン病の原因は 「らい菌」では無く栄養の不足である」ことを科学的に証明することも有 効ではないかと考えられます。
振り返って、がんを考えると、治療しないで放っておくとがん細胞が増殖 して死に至ると考えて過剰な治療をしていることが、ハンセン病と同様な 過剰処置の繰り返しにならないかと心配です。
若い人の肌が艶々なのは盛んに新陳代謝しているからです。新陳代謝とは 古くて動きの悪くなった細胞を新しい細胞に置き換える細胞分裂のことを 言います。若い人は、細胞分裂が盛んに行われているので鉄欠乏性貧血に なる人が多いのですが、貧血になると通常の食事以外に氷、ラムネ、ガ ム,海苔などいろいろな物を食べようとする異食症状を示す事がありま す。鉄不足は重大な異変である事を体が本能的に察知し、通常食べない食 材から鉄分を探索する行動ではないかと思われます。
若い人に限らず鉄欠乏性貧血では、息切れや動悸、頭痛、めまい、立ちく らみ、疲労感、爪が割れやすくなる、唇の端や舌に炎症が起こる、髪が抜 ける、肌が荒れるなどの症状が見られます。いずれの症状も、鉄不足によ り細胞にエネルギーが不足し、新陳代謝も低下する事が原因です。貧血の 時に、人体細胞に傷ができると、治すために細胞分裂をして新しい細胞を 作らなくてはなりません。この様な時は、応急的な細胞分裂となり、これ が「がん細胞」ではないかと思います。
鉄は、地球に一番多い元素で、周囲を見回してもあちこちに鉄がありますが、体の中で作る事はできません。食事から摂らなくてはなりませんが、鉄の含有量と吸収率は比例しません。鉄はそのまま人体に入るとタンパク質を変性させてしまいますので、ヘムという化合物で周囲を囲んだヘム鉄を摂る必要があります。吸収率の良いヘム鉄を多く含む食材は牛肉です。
細胞が、がんになるまでの流れは以下の通りと考えられます。
「体内の鉄不足→ 細胞の酸素不足→ 細胞のエネルギー不足→ 細胞のがん化」
がん細胞を作らせない為に鉄が必要不可欠です。がん患者に貧血が多く見 られる事から、がん患者の多くに鉄分の不足があるものと思われます。鉄 は酸素とすぐに結合してしまう性質があります。人体は、この結合エネル ギーをタンパク質でコントロールしながら必要なところにそのエネルギー を供給しています。エネルギーを使う最も重要な人体細胞の活動が、新しい細胞を作るための細胞分裂です。
また、がん防止に、緑黄色野菜の摂取も重要です。細胞分裂にエネルギー と同時にビタミンの一種である葉酸が不可欠だからです。葉酸は肉類に含 まれるビタミン B12 と共に、細胞分裂に必須な遺伝子の合成を促進するビ タミンです。
1964 年に開催されたオリンピック東京大会を一つの契機として健康・体力 づくりの機運が高まり、食事内容の改善、スポーツ・レクリエーションの 普及が推進されました。この事から日本の栄養は改善され、体力も向上しました。医学の進歩もあり、日本人の健康は大いに改善され、次ページのグラフに示す通り、がんを除くほとんどの病気は 1960 年代から減少しています。がんも肉や緑黄色野菜の摂取量が 増えてきましたので 1990 年代から減少しています。
「第2-1章 緑黄色野菜と肉の料理が、がんを減少させている」にグラフ で示した 1960 年から 2000 年にかけての肉と緑黄色野菜のデータを以下に 示します。
2010 年には、日本人一人1日あたりの肉類 83gと緑黄色野菜 88gを食べて います。このホームページでは、1 日当たり切の良い肉類 100gと緑黄色野菜 100gを 目標として提案します。
野菜に関しては緑黄色野菜以外に根菜や豆類などの淡色野菜や果物も摂る 必要があります。厚生労働省の進める健康日本 21 では淡色野菜も含めた野菜摂取目標量 350g (内緑黄色野菜 120g )としていますが、「平成 29 年 国民健康・栄養調査結果 の概要」を見ると、「野菜摂取量の平均値は 288.2 g、内緑黄色野菜 87.7g」であり目標に達していません。若年層はさらに少ない様です。学生 生活や単身生活で朝食を抜いたり、コンビニ弁当やファストフードが増え て栄養バランスが崩れているのが要因かもしれません。
がんを防止する可能性がある食材として、肉と緑黄色野菜をお勧めしてき ましたが、がんにかからない為に健康的な体力がなくてはなりません。そ の為には、運動と栄養は欠かせない要素です。運動については本ホームページの表題2や表題3に示す運動をお勧めします。
栄養について、前ページのグラフに続いて今後も病気を減らしていくため には、食べ過ぎはいけませんが、肉類 100g と緑黄色野菜 100g を最低目標 として毎日欠かさず食べる事が望ましいと思います。食事は肉と緑黄色野 菜以外に淡色野菜や果物や三大栄養素であるタンパク質、デンプン、脂肪 の適切な摂取をお勧めします。肉・魚や野菜そしてパンや米などの主食も バランスよく摂り、運動を定期的にして規則正しい生活を送る事が理想です。