「病気を無くす」ホームページ 表題2-2
エコノミークラス症候群を無くす!
エコノミークラス症候群は、飛行機の着陸、災害などの車泊避難あるいは車の長時間運転などの時に突然起こる病気です。このホームページの表題2で示す「散歩、足指・足首運動、腿上げ運動」をしていれば起こらない病気ですが、信じられない様な交通事故などが時々ありますので、表題2−2として個別に説明します。
エコノミークラス症候群では、足などに出来た血栓が心臓を経由して肺などに達して、急性肺血栓塞栓症を起こしたり、さらには「脳梗塞」あるいは「心筋梗塞」を起こして命を落とすこともあります。以下に、メカニズムと防止方法を説明します。(本文中赤字が防止方法です。)
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「本文」
2-1 メカニズム
飛行機内で長時間着席していた事により体内にできた血栓は、通常は体や心臓の底部に沈んでいます。しかし、飛行機が下降する時は、血栓が浮き上がり易くなりますので、心臓から肺に行ったり、心臓から大動脈に流れたりする可能性が高まります。
さらに、飛行機内の座席に、尻餅(しりもち)をつくようにドスンと着席すると、血栓は容易に大動脈から脳や冠動脈に入り、脳梗塞や心筋梗塞等を起こします。脳梗塞や心筋梗塞等を防ぐため、ゆっくり着席するには、前屈姿勢をとって体の重心を足の真上におかないといけないのですが、エコノミークラスの座席は前後の余裕がないため、十分な前屈姿勢が執れずに尻餅スタイルの着席が多くなります。女性の場合、筋力が少ないので、余計に尻餅スタイルの着席が多くなります。
海外旅行や海外出張では、生活時間が不規則になり疲労が溜まります。疲労が溜まると、体内の血栓溶解機能が衰えます。通常でも中高年の場合、高血圧や糖尿病により血栓を作りやすい状態の人が多いので一層血栓溶解が困難になります。
日本旅行医学会のホームページやその他資料でも、エコノミークラス症候群の予防に、機内で足の運動など勧めていますが、機内だけでなく、日常生活で足指運動などにより、高血圧や血栓の出来やすい状況を改善してから、飛行機に乗ることが重要です。機内で着席する時には、背もたれや肘掛けに手をかけて、静かな着席を心掛けてください。
2-2 無くす方法
3-1 メカニズム
災害が発生した時、いろいろな事情で避難所に入れない方が、車に避難することがありまが、この時にエコノミークラス症候群に注意が必要です。車のシートは、揺れても運転に支障が無いように、身体を包み込む構造になっているので、着席状態で身体を動かす事は必ずしも容易ではありません。車泊避難では身動きできないまま同じ姿勢で長時間過ごす事になります。車泊では足腰を伸ばすことも、寝返りも出来ません。靴を履いたままで足の血流が滞ります。災害時は、心労、肉体疲労も多くなります。以上の通り、車泊避難は血栓ができやすい状況が揃っています。
足の血栓は、元気であれば、血管内皮から分泌されるホルモンなどにより、血流中で溶解されます。しかし、疲労がたまると、ホルモン分泌も滞り、血栓が溶解されないまま心臓に流れます。心臓まで来た血栓は、通常、心臓の底に沈みますが、車のシートに尻餅(しりもち)をつくようにドスンと座ると、血栓が浮き上がり、肺・脳・心臓冠動脈などの重要な臓器に流れ込み、エコノミークラス症候群を発症するのです。
3-2 無くす方法
(補足1:足を心臓より高くすると、血流で溶解する前に血栓が心臓に入る可能性が高くなる。この事が危険なのは、「表題2 4-3-2横になって脳梗塞が発生した事例」にも記載がある)
(補足2:早いスピードで下降すると、心臓の血栓が浮き上がる)
4-1 メカニズム
長時間運転すると、緊張を強いられるので心労が積み重なります。高速道路や車専用道路では、大きくハンドルを切ることもなく体を動かせないのでリラックスできません。運転はメタボな中高年にとって、血流が滞りやすく血栓ができやすい状態が続くのです。
2016-2017年に起きたエコノミークラス症候群が原因と考えられる事故(下表参照)は、いずれも下り坂でブレーキを踏んでいます。下り坂では心臓が前に傾いた状態になるので、血栓が心臓内にある場合若干上部に移動します。そこでブレーキを踏むと、血栓が、脳や心臓冠動脈に流れやすくなります。車のスピードが早ければなおさらブレーキによる血栓上昇を促進し、エコノミークラス症候群が発症し易くなります。日本は山国のため、高速道路でも坂が多いので注意が必要です。
4-2 無くす方法
5-1心臓は血栓の沈殿・溶解槽
(1)心臓は血栓の沈殿槽
心臓では、血流がUターンします。心臓は、血管より断面積が広いため血流が緩やかです。血栓が血流に乗ってくると、心臓の底部に沈澱します。そして、心臓上部の動脈弁が、血栓流出の障害となり沈殿槽の機能を強めています。
(2)心臓は血栓の溶解槽
心臓ホルモンと言われる利尿ペプチド(BNP)は、心室で分泌され心不全の指標であり、強力な利尿効果があります。利尿には、血液の流動性を増して、腎臓の血流量を増加させることが必要であることから、BNPは血栓を溶解させる力が強いと考えられます。このことから、心臓は血栓の溶解槽といえるのです。体の疲れはBNPの分泌を妨げ、血栓溶解が出来なくなることも容易に推測できます。
厚生労働省の人口動態統計概要「死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率」では、平成25年の高血圧性疾患死亡者数は男2,657人に対し女4,508人です。また、アメリカの「Women’s Health Initiative Trial」において、女性ホルモンが、心臓発作・脳卒中の発生率を増加せることが示されています。これらの事は、女性ホルモンの血液凝固促進を示していますが、女性の平均寿命は常に男性のそれを超えていますので、血液凝固を防ぐ別のメカニズムを女性が備えているに違いありません。
2017.04.20 スタート
2017.04.21 防止方法を赤字とした。
2017.10.19 表題に(急性肺血栓塞栓症)を挿入した。
2017.11.16 項目1-3に、2016-2017年の交通事故の表を挿入した。
2018.3.23 標題を変更した。
2019.2.24 全面書き換えした。(主旨は変更なし)
2019.2.27 4(1) の表を整備した。
2019.4.16 目次のリンクを一時遮断した。
2019.5.22 目次のリンクを復活した。
2019.6.13 項目4-1の表を差し替えた。ただし、中身変更なし。
2019.8.9 冒頭に「病気を無くすホームページ表題2-2」の文字を入れた。
2020.3.22 冒頭の前書きに「表題2−2」の意義を追記した。
2021.7.5〜10 全文再推敲した。(主旨は変更なし)
2022.5.26〜6.15 全文再推敲した。無くす方法を表にした。 (主旨は変更なし)
以上